月初のご挨拶
第140号
2024年4月1日
谷川 亘
桜花づくし
水辺では、金黒羽白の大群が背腹の白黒際だたせてそれ見よがしに泳ぎまわり、中州をスッポリ覆うメタセコイアの森から響くのは、「ケキョ(ツッツ)・・ケキョ(ツッツ)」とただ繰り返すばかりの発声訓練中の鶯の初鳴き。
「もうすぐ春ですねぇ」。なんてキャンディーズの歌がありましたけっっ。
つぼみの膨らみも開花も、気まぐれなお天気次第。
そうですよ。地球温暖化と都市化現象の相乗作用で開花宣言一番乗りはお江戸東京の得意芸。何事でも一番乗りは“悪い気がしない”のですが、今年は開花直前に霙(ミゾレ)が降ったりして九州・四国勢の後塵を拝してしまいました。
意に逆らって、急に気温が上がって、2、3日暖かい日が続くと思うと、また寒い日がやって来ては、再々暖かくなる反復現象。このように、気温が急に高くなったり、低くなったりするのが、春の気象の特徴のなんだそうです。まさしく“三寒四温”。この四文字熟語の本来の意味ではないのだそうですが、これに相応しい東京の気温の変化でした。また、桜にとっては「休眠打破」と言って、冬の間に適度な寒さが必要で、暖冬過ぎても開花が遅れる・・・。なぁんて、素人には何とも理解しがたい理屈もあるのだそうですよ。
私は、2016年3月21日の開花宣言に偶然居合わすことが出来、何故かいたく感激してしまいました。それ以来開花が近づくと胸騒ぎがおさまらない。その場に相応しくない背広にネクタイ。仰々しくも群衆の輪の中に入って開花を宣言する。お役人冥利に尽きるのではないでしょうか?
それ以降は、“春の訪れ”を靖国神社から告げられることになっています。
2018年3月18日にも開花宣言が出たのですが、当日はOB会の行事でニコライ堂→湯島天神→神田明神と歩み、靖国神社の目と鼻の先にいたのですが、宣言が気掛かりではあったものの、その場には居合わすことができませんでした。2019年、20年とは連続して行ったのですがその後はコロナ禍で中断していました。
今春こそは靖国神社の標本木がイの一番に春の訪れを告げると思い込んで、手ぐすねを引いて3月24日と勝手に決め込んでいたのです。
「急いては事をし損ずる」の例え通り、当日は早朝“よた歩き一万歩”のお役目を果たし、どてっつと一服していると急に胸騒ぎ。今日開花するとのお告げあり。
取るものとりあえず電車の人となる。
ついでながら皇居では3月末まで乾門通りの桜の通り抜け。坂下門から入って宮内庁庁舎を左に見、乾通りから北の丸公園経由で、法政大学の卒業式挙行されている武道館を経由して乾門から靖国神社へ。
標準木はつぼみでしかなかったのです。「ここ数日の開花はあり得ません」と、代わって宣言したい位でした。当日は実に27,109歩。“参った”なんてものではありませんでしたよ。
正直、「4輪ではダメ」。たった一つ違いの5~6輪の開花で“大騒ぎする”騒動に嫌気がさしてしまいました。開花の予測の正確性を競う民間気象会社の発表は二転三転したものの、3月29日の午後2時。いやいやしくも気象庁の地上気象観測班の班長殿が「開花宣言の要件を満たし、11輪の開花を確認しました」と宣言(発表)されました。
本欄と合わせ、拙宅の桜の開花を掲載できればよかったのですが、我が家のそれは奥手育ちのようで、年度末と言うのにまだつぼみはほんのりピンクがかった段階。花の盛りを、来月の表表紙で飾らせていただくつもりです。
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